『「土壌汚染対策法」対応 実務推進マニュアル』
環境マネジメント研究会・編
この本の御案内(本文より)
こんにちは!ようこそ、この本を手にとって頂きました。ありがとうございます。
この本は、平成14年5月29日に公布された「土壌汚染対策法」(施行は平成15年2月15日)と、その背景や外国の事例について、早わかり的に解説するものです。
太陽、土、大気、水は、私たちの生命を育んだ大切なものとされています。これらを綺麗に保っていくことが私たちが生きていく上で、とても大切なことです。これらが汚染されれば、私たちはいかに繁栄を極めたとしても、もはや生きていけなくなってしまいます。我が国においては、大気汚染防止法は昭和43年(1968年)に、水質汚濁防止法は昭和45年(1970年)にそれぞれ制定されました。
ところが、土壌汚染については、なんと平成14年(2002年)まで法律化されませんでした。私たちの命を守る上で、早期制定が切望されていたものが、ようやく立法化されました。大気や水質に関するものが「○○防止法」と呼ばれているのに対し、この法律には「土壌汚染法」と対策の名称が付されています。したがって、この法率は、土壌がどんな汚染状態にあるのか、その現状を調査、把握し、その上で、その土壌汚染の状態が「特定有害物質により人の健康に被害が生ずるおそれがある」ときに、それに対する浄化対策をとることを骨格とするものです。
この法率には、事前に土壌が汚染されないように、特定有害物質の土壌への排出を規制する防止措置は規定されていません。また、地域住民等からの土地所有者などに対する土壌汚染被害による損害賠償の請求についても、無過失責任などの特則も規定されておりません。
この法率では、土壌汚染の現状を調整したり汚染を浄化する責任は、最終的に全てその土地の所有者に負わされています。調査の費用や浄化の費用が、最終的に土地所有者の負担となるとされているのです。たとえ土地所有者が汚染に関係しなくとも、第三者による汚染であっても、土地を所有していることに基づいてその最終責任を負わされることになります。もっとも、浄化作業のために基金が設けられ、助成金が地方公共団体から交付されることになっていますが、そのための国庫補助は平成14年度1.25億円、平成15年度5億円とされているに過ぎません。アメリカのスーパーファンド法における基金が、1986年で85億ドル(平成14年3月衆議院調査局環境調査室作成土壌汚染対策法案・資料P68)とされているのと比べると、大きな違いあります。
また、我が国では土壌汚染の浄化についてその潜在需要が13兆円にのぼると試算されています(毎日新聞、平成14年3月11日)。この法率の施行により、売買、等価交換、賃貸など土地の取引にはとても大きな影響がでることと思われます。
この本は、まず第1章で、この法律が施行されるに至った背景について略述します。土壌の汚染が私たちの健康や生活環境にとても大きな影響を与えていることを、皆でしっかりと認識したいと思います。
次に第2章で、土壌汚染対策法を法条を追って解説します。ここで、我が社の対策や生活者としての対応を、読みとっていただけるとうれしく思います。
そして第3章で、アメリカ、ドイツ、オランダなど外国の事例に触れます。我が国の現状とよく比べてみて下さい。これをヒントに、皆さんに土壌汚染対策をさらに進めるための目標が、ズバリ浮かべていただけたら素晴らしいと思います。
おわりに、この本の執筆は、環境保全、環境マネジメントの実践的研究や支援を目的とした「環境マネジメント研究会」のメンバーにより行われました。そのほとんどが、種々の国家資格などを有する専門家であり、平素よりコンサルタントや企業実務に携わっています。この会は6年間の実績を有し、環境に関するセミナー、支援、執筆(『PRTR推進実務マニュアル』平成12年、通産資料調査会、『実践ISO14001プラス環境側面ー循環型経営・持続可能型経営を目指して』平成14年、大成出版)などを行っています。
なお、末筆んがら、出版の労をとって頂いた同友館の鈴木良二氏、菊池公平氏に改めて、心からお礼を申し上げます。
2003年8月 中園繁克
この本のご案内
第1章 法案の背景・経緯
1-1 土壌汚染の問題点
1-2 土壌汚染の状況
1-3 土壌汚染の暴露経路
1-4 土壌汚染に対する国・地方自治体の取り組み
第2章 土壌汚染対策法逐条解説
2-1 目的
2-2 定義
2-3 土壌汚染状況調査
2-4 指定区域の指定等
2-5 指定調査機関
2-6 指定支援法人
2-7 雑則
第3章 土壌汚染調査・対策
3-1 土壌汚染調査
3-2 土壌汚染対策
第4章 諸外国の土壌汚染対策法