『「土壌汚染対策法」対応 実務推進マニュアル』

この本の御案内(本文より)
こんにちは!この本を手にして頂き有難うございます。この本は、「土壌汚染対策法」が平成15年2月15日から施行されるのを契機として、著作されたものです。土壌汚染の現状から土壌汚染の影響、その調査、分析、対策などについて、実務的な解説を試みたものです。
ここで少しの間、この本をご活用頂くに当っての序奏を、お聞き頂きたいと思います。21世紀は環境の時代といわれています。その自然環境の中でも、最も基礎的な「土壌」について、地に足をつけて考えてみましょう。
まず、私たちはどんな歴史を辿って、今こうして生きているのでしょうか。私たちの住んでいる地球は、今から約45億年前、太陽を飛び出した火の玉が、約1億5千万kmの旅をしてできたものです。その頃、地球の表面を包んだ大気の中の水蒸気が冷えて水となり、雨、嵐となって地球に注ぎ、地球の地表が冷えて土ができ、川や海ができました。今から35億年前、海の波のまにまに漂う泡の中で生命(単細胞)が育まれたとされています。そしてその単細胞が進化し、DNAにいざなわれ乍ら植物、動物、サルそして人を育んできたとされています。このような歴史的経過を経て、現在の地球上の山川草木、動物の生態系がくり広げられているのです。このようにして現在の生存する動、植物という生命体を育んだものは、まぎれもなく、太陽、土、大気、そして水の4つの素です。私たち人類の生命の素も、この4つです。この本は、そのうちで最も基本となる「土」に関するものです。ちなみに、人、土、そして大気を組成する元素の一覧表を、資料編に掲げておきました。人が、土、大気、そして、水からしっかりと生命体の素を、頂戴していることがわかりますね。
こうして、今から500万年前に誕生した人類は、大脳が異常な発達を遂げ、すばらしい知力をもつ情報型動物として、文明を形成してきました。その文明は、人類の知力により大きな発展を遂げてきました。最初に知力を絞ったのが、食欲を満たすために約9000年前、農耕を始めたことです。これにより、人類は豊かな食糧を確保することができるようになりました。これは、食糧生産革命と呼ばれています。次に、物欲を満たすために、人類は18世紀後半に機械や蒸気力を発明し工場制生産を開始し、飛躍的に生産力を増大させました。さらに、交通機関も発達させました。これを産業革命と呼んでいます。
この産業革命は、豊富な製造物をもたらし、世の中をとても便利なものにしました。しかし、その製造物は、便利な反面において危険性も内包していました。人類の製造してきた製造物は、これまで地球上に存在しないものでしたので、地球にとっては異物であり、その親和性を欠くものでした。従って、造りだされた化学物質等は、20世紀半ばにおいて人類が気付いた時には、既に人類の生命、身体を蝕み、その生命環境の基盤を危うくしていたのでした。このまま人類が製造物を作り続ければ、人類は生存環境を失い、滅亡すると警告されています。人類の造る製造物は、便利と危険の二面性を必ず併有するので、人類は自らの滅亡への危険を回避するためには、製造物の製造を止めなければならないのでしょうか。製造物をさらに進歩させながら、人類がより幸せに生活できるように文明をさらに発展させる方途は、もはやないのでしょうか。
人類は知力をもって、食欲を満たすために食糧生産革命を遂行し、物欲を満たすために産業革命をなし遂げました。そして今ここで人類は、便利さを求めて造りだす製造物が、地球に異物としての違和感を与えず、よく自然と親和する方向に文明を持続的に発展させることが求められているのです。これは人類の生存をかけた一大事業です。そのためには、人類は知力を集積し、ブレイクスルーすることが喫緊の課題です。人間の特徴である前頭葉を働かせた真の知の創造による知力革命が、必要とされています。今はすでに、コンピューターを中核とする情報化の時代となっています。その力により知識の集積は飛躍的に進んでいます。これにより、人類はコンピューターに入力された形式知を、共有することはできます。しかし、それは過去の知識を集めたものにすぎず、それだけでは知のブレイクスルーは起りません。知のブレイクスルーを起すには、新たなるものを生み出すための原動力となるいわば“生命力”が必要となります。
その生命力はどこに秘められているのでしょうか。私たちはある問題を解決しようとするとき、まず、それに関連する既存の情報を収集します。それを何らかの方法で組み変え、問題解決の糸口を探ります。問題解決に向けて情報を共有化し、多くの人々が知恵を絞り、練り上げていきます。しかし、一定のところにいくと思考の壁にぶち当ります。私たちが、顕在意識の下で、既存の情報の集約により問題の解決をしようとすることは、与えられた積み木で、生きた木を作り上げることができないのに、よく似ています。新たな生きた木をつくるには、そこに生命力が必要とされます。これと同様に、顕在意識による知の思考が行き詰まった場合にも、必ずそこに問題解決のための生命力が必要となります。ここで、後掲の資料図表1をご覧下さい。私たちは、顕在意識の基盤として、DNAにいざなわれ35億年の進化の過程を刻んできた厖大な潜在意識を保有しています。これは生命の進化を刻んだもので、新しい生命力の発揚を担うに足るパワーを秘めたものです。この潜在意識を活性化し、活用することにより、その問題解決のために生命力を吹き込むことができると思います。そして、その生命力により顕在意識が突き当たった思考の壁を、打ち破ることができると思います。皆さん方が、難しい問題に思いあぐねているとき、ふと朝の目覚めのころにすばらしいアイデアが浮かぶことがあるでしょう。これまでの論理の壁を超えて、新たな次元への知のブレイクスルーが起ったときは、とても嬉しいものですね。これは潜在意識が活用されたよい例です。潜在意識を刺激し、活用する方法論については、色んな研究が行われています。35億年このかた、潜在意識が刻んできたものは、いずれも、生命体が自然に適合し、親和して進化を遂げてきた歴史の過程です。従って、この潜在意識をよく刺激するのには、私たちが平素から、自然を受容し、理解し、これに学ぶという「自然に親和する生活や仕事の仕方」をすることが、とても大切なことだと思います。この平素の自然親和の行動が、自然親和の本質をもつ潜在意識に、心地よい刺激を与え、これを活性化し、その活用が容易になると思われます。
そして、この潜在意識による問題解決の方向性は、潜在意識が自然親和の歴史的過程ですから、まぎれもなく、私たちの目ざす「自然に親和する持続可能な文明」によく適うものになると思います。
このようにして、人類は、顕在意識と潜在意識を併せて活用することにより、文明を「自然に親和する持続可能な」ものへと、ブレイクスルーすることができると思います。
さて、自然に学ぶには、太陽、土、大気、水という生命の4つの素からはじめる必要があります。
この本は、その土に関するもので、平成15年2月15日に施行される土壌汚染対策法を契機として、土壌汚染への対応を実務的に記述したものです。土壌汚染の対策に携わられる方々が、単に現在、法令により特定有害物質として指定された25種類の化学物質についてのみ、処理・対応していくことに止まらないで欲しいと思います。常に、『土から生み出され、土なくしては生きていけない人類が、土を理解し、土を受容し、土に学び、土に親和していく持続可能な文明を創造するには、どうすればよいか』の視点をしっかりともって、土壌問題の対応にあたって頂ければ、嬉しく思います。そして、製造物の便利と危険との二面性を離脱し、共に『自然に親和する持続可能な文明』へのブレイクスルーの方途を、研究していこうではありませんか。
2003年5月 中園繁克
この本のご案内
第1章 土壌汚染の現状
1. 土壌汚染とは
2. 日本の土壌汚染状況
3. 海外の土壌汚染状況
4. 土壌の直接摂取によるリスク評価等について
第2章 土壌汚染対策法および自治体条例の概要
1. 国の取り組み
2. 都道府県等の条例と自治体の取り組み
3. 土壌汚染に対する企業支援について
第3章 企業・土地所有者への土壌汚染の影響
1. 土壌汚染対策費用の負担
2. 不動産評価・価格への影響
3. 環境対策への影響
4. 資産価値への影響
5. 社会的貢献
第4章 土壌汚染に対する業界の動き
1. 環境報告書から見た業界の動き
2. 土壌汚染関連業界の概要
第5章 土壌・地下水汚染の調査・対策
1. 土壌・地下水に係る環境基準
2.「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針運用基準」の概要
3.「土壌汚染対策法施行規則に基づく技術事項」の概要
第6章 土壌・地下水の前処理および分析手法
1. 土壌・地下水の前処理方法および分析手法
2. 土壌・地下水の分析手法
第7章 土壌汚染の予防対策
1. 土壌汚染の予防対策概要
2. PCBによる土壌汚染の具体的予防対策
3. 廃棄物の管理
第8章 リスクマネジメント
1. リスクマネジメント
2. 土壌汚染におけるリスクマネジメントの留意点
3. リスクコミュニケーション
第9章 汚染土壌・地下水の浄化処理法および調査・処理業者
1. 汚染対策技術の評価の視点
2. 汚染土壌・地下水の処理業者の紹介と技術事例
3. 汚染土壌・地下水の調査・浄化処理の費用と調査・処理業者の選定方法
資料編
1. 法律・条例等
2. 用語の解説
3. (社)土壌環境センター会員URLアドレス
お問合せ先
株式会社 化学工業日報社 TEL 03-3663-7932(営業)